実機テストの負担を減らし、ロボット開発の加速を実現!
Artefactsが切り拓く、サービスロボット開発の未来

実機テストの負担を減らし、
ロボット開発の加速を実現!
Artefactsが切り拓く、
サービスロボット開発の未来

撮影場所:WeWork

サービスロボットの未来を支えるArtefacts
アステリアCTO×開発者が語る真価と展望

ロボット開発における大きな課題のひとつが、実機テストにかかる手間とコスト。
限られた環境で、多様な条件下の動作確認を行うには、多大な準備と繰り返し作業が求められます。
そんな常識を覆すプラットフォームが、アステリアARTから登場しました。

その名は「Artefacts(アーテファクツ)」。
現実のような仮想空間でロボットの動作を再現し、柔軟なシナリオ設計とレポーティングで
“ロボット開発のCI(継続的インテグレーション)”を実現します。

本記事では、Artefacts開発の背景や設計思想、今後の展望について、アステリア株式会社 CTO 北原淑行氏と、開発リードを務めるファビアン・デュボア氏が語ります。

Artefactsの特長と開発した経緯を教えてください。

北原

 Artefactsは、仮想空間でロボットの動きをシミュレーションし、ロボット開発に必要なテスト工数を大きく削減することを目的とした製品です。ロボット開発に携わるエンジニアの方々を、どうすればソフトウェア的に支援できるのかをエンジニア目線で考えて作られています。

アステリア株式会社取締役副社長 / CTO / 共同創業者 北原 淑行

ファビアン

 ロボット開発において私が強く感じているのは、圧倒的にツールが足りていないということです。私は宇宙開発ロボットの研究・開発に携わった経験から、未知の環境にロボットを送り出すにはさまざまなシナリオでシミュレーションする必要があることが重要だと考えています。エンジニアからも、実機でのテスト前にシミュレーション環境でテストしたいという声をよく耳にします。
 しかし、ニーズはあっても、ロボット開発用のシミュレーション環境を構築・維持するには、工数や費用が問題になります。仮想空間でロボットの動作をテストするには、シミュレーション環境を構築するだけでは終わりません。テストシナリオを作成し、動作をモニタリングしてテストの可否を判断するメトリックス(測定基準/指標)を設定しなければなりません。また、障害物がある、床が傾斜しているといった環境条件をパラメータ化する機能も必要です。そのため、潤沢な予算が確保できている大きな組織でなければ用意できませんでした。こうした課題を解決するため、私たちはArtefactsを開発することにしました。

アステリアART Product Lead, AI & Robotics Engineer / ファビアン デュボア

北原

 ソフトウェア開発の現場では、コードが変更されると、自動的にビルドとテストを実行してバグを早期に発見するというCI(Continuous Integration: 継続的インテグレーション)環境が当たり前のように整っています。ところが、ロボットなどのハードウェアがかかわった途端、それがとても難しくなります。ハードウェアをセットアップし、そこにソフトウェアをインストールしてテスト。問題が発生したら、ハードウェアが悪いのかソフトウェアが悪いのかを切り分け、問題点を修正して再度テストを実施するといった一連の繰り返し作業を、すべて現場でやらなければならない。
 そのため、私たちはArtefactsのシミュレーション環境でのテストを提案しています。ソフトウェアにある問題を事前にArtefactsで発見しておけば、実機を使ったテスト工数を大幅に削減できます。あるいは、実機でテストした際に何らかの問題が発生した場合でも、シミュレーション環境でも同様に問題が発生するのであれば、原因はソフトウェアにある可能性が高いことがわかります。

ファビアン

 そうした継続的インテグレーションによるアプローチに加えて、Artefactsではパラメータを細かく調整するなどロボットの最適化にも向いています。つまりロボットの性能を最大限に引き出すことができるのです。

ロボットにはさまざまな種類がありますが、
Artefactsは特にどの分野をターゲットにしているのでしょうか。

ファビアン

 メインターゲットは、介護施設、オフィス、飲食店など人と一緒に働くサービスロボットです。また、道路、電力、鉄道など社会インフラのメンテナンス現場でのニーズも高まっています。長期的な視野で考えれば、温暖化などの環境問題に対応する林業、食糧問題を解決するための農業などでもロボットの導入が進むことになるでしょう。特に日本は人材不足が深刻な課題となっていますので、ロボット産業はますます成長していくことになると思います。

北原

 しかしながら、人と協調して動くロボットのテストは容易ではありません。人が動いている環境、たとえば介護施設であれば、テストできる時間を確保することも難しいでしょう。そうしたロボット開発を支援する仕組みがArtefactsといえるでしょう。
 ロボットはハードウェア製品なので、それほど多くのバリエーションを作成できません。既製品というか、汎用品として提供されています。こうしたロボットにアプリケーションを組み込み、実際の環境で動かすためのチューニングをすることになるわけです。

ファビアン

 そうしたサービスロボットの多くは、LinuxをベースとしたOSの上で、C++やPythonといったプログラミング言語で開発したアプリケーションを組み込んで動作します。比較的オープンなテクノロジーで開発しているため、最近ではサービスロボットを開発するスタートアップ企業も増えています。

北原

 ロボットに関連するオープンソースのソフトウェアもかなり増えてきました。SaaSとしても提供されるArtefactsは、中小規模やスタートアップの新規参入障壁をなくすことにも大きく寄与すると思います。

新規参入障壁をなくすという観点では、ロボット開発における
技術的なハードルを下げることも視野に入れているのでしょうか?

ファビアン

 ロボット開発におけるテストは、一通りのシナリオをやれば終わりというわけではありません。動作のスピードを変えたらどうなるか、人が近くにいたらどうなるかなどを確認し、修正して再度テストを実施するということの繰り返しです。つまり、多くのテストシナリオが必要になるわけです。そのため、Artefactsでは、ロボットの動作や環境をパラメータ化して簡単に設定できるようなガイド機能を実装しています。そして、さまざまなバリエーションのテストをすぐに実行できるように設計されていて、シナリオ開発にかかる時間を減らす支援をしています。
 今後も顧客のニーズに沿って、汎用的なテストシナリオやパラメータを、ソフトウェアライブラリとして積極的に提供していきながら、将来的にはローコードやノーコードも標榜したソフトウェアとして進化させていく予定です。

北原

 ロボット開発では、本当に細かく沢山のテストが必要になります。そのため、テストシナリオは、基本的には細かい単位で動作を確認する単体テストを積み上げるような形で作成します。その後、単体のシナリオを組み合わせ、より長い時間の結合テストを実施するイメージです。この組み合わせによって、より複雑な動作もテストできるようになります。
 当然ですが、テストはモニタリングして、修正や改善につなげなければなりません。Artefactsはテスト結果をレポーティング(報告)してくれるので、問題や改善部分の把握も容易です。
 ArtefactsはアステリアARTが開発したソフトウェアですが、AIの機能が搭載されていません。今後はAIの技術も活用していく予定ですが、LLM (Large Language Models: 自然言語処理)の技術を応用し、もっと簡単にテストシナリオを作成する機能などを検討しています。

ファビアン

 AIの活用についてはいろいろ考えています。たとえば、ギリギリでパスしたテストを検知して、より効果的なテストを提案する、あるいはシミュレーション環境そのものにAIを組み込むことで、より的確なフィードバックが得られるようになる可能性もあります。
 ロボット開発に限らず、LLMでプログラミングコードを最適化するような試みはさまざまなところで行われています。AIを応用すれば、すでに稼働しているロボットのアプリケーションを分析し、性能を向上させるといったこともできるかもしれません。

北原

 Artefactsは、ロボット開発におけるテスト工数の削減を通じて、より迅速かつ高品質なエンジニアリングを支援します。開発現場に革新をもたらすフロンティアとして、幅広い業界に新たな価値を提供していけると確信しています。

詳しい製品情報

詳しい情報は製品サイトをご覧ください。

詳細を見る

お問い合わせ

製品に関するお問い合わせ、デモに関するご要望を承ります。

お問い合わせ