電力利用量を”後付け”で見える化+自動通知~コスト削減や安全対策に効くリアルデータの収集と活用~

はじめに
電力コストの最適化やエネルギー効率の向上が求められる中、「複数の電力量計からのデータを一元管理したい」「リアルタイムに可視化したい」といったニーズが高まっています。
本記事では、センサーや外部ツールと連携しながら、ノーコードで柔軟に電力データを可視化・監視できるソリューションの取り組みをご紹介します。
概要
シンガポールのエネルギー管理ソリューションプロバイダー EnergieServe社は、リアルタイムな電力パラメータの監視に外部デバイスを活用する可能性を評価するPoC(概念実証)を実施しました。
このソリューションでは、データの収集・処理・可視化を行うミドルウェアとしてGravioを採用し、MQTTプロトコルを介して複数の電力量計やゲートウェイデバイスと接続しています。
PoCの結果、Gravioを使ってエネルギー消費データを収集・フィルタリングし、ダッシュボードで表示する仕組みが有効であることが確認されました。また、ThingsBoardやGrafanaなどの外部可視化ツールとの互換性も実証されています。
このソリューションにより、企業はリアルタイムなインサイトや自動アラートなどを柔軟に追加できる拡張性の高いノーコード型エネルギー監視システムを実現できます。
課題と目的
課題
- 複数の電力量計やセンサーからリアルタイムの電力データを一元化するのが困難
- 複雑なコーディング不要で柔軟に拡張できる仕組みが必要
- クラウド/ローカルMQTTブローカーの両方とシームレスに連携する必要あり
- 可視化前にデータを自動でフィルタリング・加工する必要がある
目的
主目的:
- GravioがMQTT経由で電力消費データを集約・表示できるかを評価し、自動アラートなどの機能拡張を可能にすること
副目的:
- 外部IoTデバイスやセンサーとの統合性を確認
- Gravioのダッシュボードでリアルタイム可視化を検証
- データフィルタリングやアラートを含む自動化ワークフローをデモンストレーション
ソリューションと実装
使用テクノロジー(Technology Stack)
EnergieServeの監視システムでは、Gravioを中心とした以下の構成が採用されました。

システム構成図(概要)
- HeYuan デジタル電力量計:Modbus経由でMQTTゲートウェイと連携し、電力データを測定
- Four Faith MQTT ゲートウェイルーター:Modbus信号をMQTTに変換し、ローカルのMosquittoブローカーに送信
- Eniscope デジタル電力量計:リアルタイムの電力データをMQTTで送信
- ASUS ファンレス産業用PC:GravioおよびMosquittoブローカーを稼働し、ダッシュボードを提供

Gravioの役割
MQTTによるデータ収集
- Gravioは各電力量計が発行するMQTTトピックを購読し、リアルタイムの消費データを取得します。
自動データ処理
- JSONPathフィルターを用いて必要な電力パラメータ(例:V1A=電圧)を抽出
- イベントドリブンでリアルタイム処理を実行
データ可視化
- 抽出・整形されたデータをGravioのダッシュボード「Coordinator」に表示
- ThingsBoardやGrafanaといった外部可視化ツールへの連携も可能
主な機能と特徴
シームレスなIoT連携
- MQTT、Modbus、JSONなど多様な形式に対応
- 電力量計やゲートウェイとの「つなぐだけ」の簡単統合を実現
データの自動フィルタリングと処理
- JSONPathを使って特定の電力データ(電圧・電流・電力など)を抽出
- MQTTのペイロードから必要な値だけを効率よく取得
リアルタイム監視とダッシュボード表示
- Gravio内で電力データをリアルタイム表示
- Grafana、ThingsBoard、Power BIとの外部連携も可能
柔軟な展開性
- ローカル/クラウドどちらのMQTTブローカーにも対応
- Windows、Linux、macOS、エッジデバイスでも動作可能
結果とビジネスインパクト
PoCにより、Gravioは以下の点で効果的であることが確認されました:
- リアルタイムデータの取得:エネルギー使用状況を即時に可視化
- 複数デバイスとの連携:コーディングなしで各種パワーメーターと接続
- 自動分析と効率化:業務効率向上に向けたデータドリブンな意思決定を支援
- スケーラビリティ:RestAPIやWebhookによる大規模展開も可能
- クラウドサービスとの統合性:将来的にクラウド型EMS(エネルギー管理システム)との連携も期待
今後の展開と統合の可能性
BMS(ビル管理システム)との統合
- MQTTやWebhook、REST APIを使ってHVACや照明制御、設備監視と連携可能
データベース・ERP連携
- SQL/NoSQLへのデータ保存により、長期的な分析やトレンド可視化が可能
- SAP、Oracle、Microsoft DynamicsなどのERPと連携してコスト報告や予測も可能
ファシリティマネジメントとの連携
- 消費電力がしきい値を超えた場合に自動アラート
- メンテナンス自動化によりダウンタイムを最小化
スマートグリッド・再生可能エネルギー統合
- ソーラーパネル、蓄電池、需要応答システムなどと連携可能
- 需要ピーク管理や負荷分散の最適化を実現
AI・予測分析への応用
- AIプラットフォームと連携し、機械学習での異常検知や予測制御を自動化
- Gravioの自動化機能で、AIによるインサイトに応じたアクションを実行可能
これにより、EnergieServeのエネルギー監視ソリューションは将来的な技術進化にも柔軟に対応可能です。
EnergieServeとGravioについて
EnergieServeは、シンガポールに拠点を置くエネルギーソリューション企業で、電力消費の最適化と持続可能性の向上に取り組んでいます。
Gravioは、ノーコードでエッジ処理を実現するIoTプラットフォームで、エネルギー監視を効率化し、データに基づく意思決定と自動化をサポートしています。
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